清貧農民・杉山あきら 国会への道 77

僕と日本共産党(1)「スゲー学生がいたもんだ!」


三十数年前のことだが、僕は都内の大学に通っていた。
当時はバブルの真っただ中。「トレンディ・ドラマ」が人気を博し、フリーターでも食っていけると言われていた時代。「ネクラ」は良くないものとされ、今と比べれば、チャラチャラした雰囲気が若者の間に漂っていた。
わが大学のムードは地味な感じだったが、それでも何となく「難しい話をする奴はダサイ、暗い」という空気があった。
僕は(優等生ぶるわけではないが)もっと人生や社会、芸術などについて議論を戦わせるような青春を夢想していたので(多分、兄たちの影響)、みんなと馴染めないような気持がしていた。
一学期のある日、学内で「平和問題研究会」なる団体が公開勉強会を開いていた。
のぞいて見ると、「日本への原爆投下の判断は不可避だったのか」というテーマで学生たちが報告している。
その報告ぶりが見事だった。自主的にこんなに勉強している学生がいるのか、と驚いた。
一般社会人の傍聴者からも質問が飛ぶが、報告者の学生の調査・研究は実に細部まで行き届いており、すぐに答えが返された。
メインの報告者は広島出身で、親族に被爆者がいるようだった。それだけに語りが熱を帯びていた。
「こんなスゲー奴もいるんだな!」と、彼らに敬意のような気持ちを持った。
(つづく)


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