清貧農民 杉山あきら 国会への道㉛ 原発ブルース (上)

妻は学生時代にワンゲル部で山三昧の生活をしていた女性だ。
秋田に移住するにあたっても、希望は「できるだけ山の中がいい」ということだった。
今でも山にいくことが何より好きで、ついでに山菜やキノコを採って来るので、我が家は山の幸には事欠かない暮らしができている。
しかし、福島の原発事故以来、岩手県側で採ったものからセシウムが検出されたとの報告があり、直売所に出せなくなった。特にキノコはセシウム濃度が高いという。
奥羽山脈に守られて、村内のものは大丈夫とのことだったが、完全にゼロとは言いきれないだろう。
特に成長過程にある子供たちは影響を受けやすいらしいので、せっかくの天然キノコも子供に与えるのは…となってしまう。
天然物よりハウスで栽培したものの方が安全だと言われた。
なんたることだ!
素晴らしい自然環境の中で、その恩恵を受けながら暮らすという、この村のメリットが台無しになってしまう。
原発とはなんと罪作りなものだろうと思う。
こんな山村でつつましく暮らしている人たちの昔ながらの暮らしもパーにしてしまうなんて。
ここなんかより、福島などの故郷に戻れない人達の無念さはどれほどだろう。
原発の再稼働を進める人達はいったい何を学びとったのか。


ーつづくー     

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