いま、マルクスが人気!(1)
「社会主義ってもう終わったって言うか、過去のもんでしょ」とか。
1991年、いわゆる「ソ連の崩壊」があった時、みんなこぞって「社会主義の実験は終わった」と言っていて、僕はそれに違和感を感じていた。「一つの硬直した社会体制が破綻したっていうことで、別にマルクスの学説がダメだったっていうことにはならないんじゃない?」と。
この二つをどうしてもごっちゃにして、ポイと投げ捨ててしまいたい人たちがいるような気がした。
今、社会のトップに君臨してるような富裕層・大企業とそれにくっついている政治家たちにとっては最高に都合の悪い学説だから、当然と言えば当然だけれども。
僕は、学生時代に学んだ「史的唯物論」とか「剰余価値説」とかがソ連の失敗によってすべて否定されなくてはならないなんて、絶対おかしいぞ!と思った。
その後、お金万能のやり方が大手を振ってまかり通り、資本主義がなぜか究極の社会体制であるかのような顔をして時代が進んできた感があったが、その結果どうなったか。
地球環境の悪化がヤバい段階まで進行し、自然災害が頻発し、海はプラスチックであふれ、森林奥地からコロナウイルスまで引っ張り出してきてしまった。
一握りの大金持ちと大多数の貧しい人たちという、超格差社会が築かれ、固定化してしまった。
このような危機的時代となって、再びマルクスが脚光を浴びてきているらしい。
「資本論」がNHKの「100分で名著」で取り上げられ、書店にマルクスコーナーが設置された。
そのブームの火付け役の一人である新進気鋭の研究者・斎藤幸平氏の「人新世の資本論」がベストセラーになっているというので購入して読んでみると、その想像を超えた中身にビックリしてしまった。
(つづく)
0コメント