清貧農民・杉山あきら 国会への道 86

 よみがえれ、ツワモノたち!


 21年前に東成瀬村に移住した当初は、集落の人たちの共同作業などでの仕事ぶりがあまりにも見事なので驚いたものだった。
 女の人でもスコップを軽々と使って水路をさらっていく。
 神社の冬囲いでは、70過ぎの人でも高いハシゴをすいすいと登って釘を打ち込む。
 どしゃ降りの中でも平然と何時間も刈り払い機を使って草を刈っていく。
 僕は一番若手であったが、何をやっても手際と馬力でかなわなかった。
 みんな正に「ツワモノ」という感じだった。
 しかし月日が経過し、そのかつての「ツワモノ」たちもだいぶパワーが落ちてきたようだ。
 朝5時前から始まる刈り払い作業も、6時のチャイムが鳴っても終わらなくなってきた。
 耕作放棄地の草刈りも、面積は年々増えてきているのに、亡くなる人も増え、スピードも落ちてきているし、休憩も頻繁にとらなくてはならなくなってきている。みんな確実に年を取っているのだ。
 コロナが流行る前から、みんなの鬼のような酒量が減ってきたのも感じていた。
 あの「ツワモノ」が僕に頼るような弱気な発言をするのを聞くのは淋しい気がする。
 子どもや孫たちも滅多に村に帰ってきたりしない。こんな自然豊かで人間らしく暮らせるところで暮らしていけないという、おかしな社会のゆがみがある。
 日本の社会、政治に翻弄されてきた村のツワモノたち!
 また活気を取り戻そうよ!また豪快に笑おうよ!
 怒ってもいいんだよ!いつまでも言いなりになっていなくても・・・。
 



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